司法試験・予備試験関係のツイート 2021 まとめ(2)
「事例への適用を度外視した憲法学説は、少なくとも解釈学説ではない。……いくら車の設計図を眺めていても、さらにはそれを自分で書けるようになったとしても、車の運転が出来るようになるわけではない。……運転技術に相当する能力の修得が『法律学を学ぶ』ということの意味であり、基本的には自分で試行錯誤を繰り返して『体で憶える』しかないのである。」*1
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前回のブログ(↓↓↓)と同趣旨のブログになります。最近の公法(憲法・行政法)関係のツイートのまとめ的な内容です。
特に、司法試験・予備試験受験生の皆様、憲法や行政法に関心のある学生の皆様、よろしければご笑覧ください。
1 憲法
(1)厳格審査基準(過小包摂)
5~10年前くらいは殆どなかった質問だが、司法試験受験生からここ数年よくいただくご質問として、厳格審査基準の手段審査の「過小包摂」だとなぜ違憲になるのかというものがあるが、渡辺康行先生ほか『憲法Ⅰ 基本権』(日本評論社)240頁↓〔宍戸常寿先生(令和3年考査委員)〕の影響かもしれない pic.twitter.com/Qn9fMZIvak
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月14日
受験生「平成20年新司法試験採点実感の『適用(処分)違憲』の主張だが、目的手段審査の規範で処理したらNGか?」
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月7日
回答「これは①芦部第1類型の適用違憲と②第3類型の適用違憲(=処分違憲)の両方を含みうるワードなので、①なら目的手段審査OK、②なら①と同様にOKといえない、ということになる」 pic.twitter.com/NXepVGCp6e
(3)プライバシー権
一連のマイナンバー訴訟について、司法試験受験生としては、まずは、①行政運営効率化や手続簡素化は「正当な目的」で、②個人番号流出はあれど人為的ミスや故意に基づくものなので、制度自体の不備ではない(手段も合理的)という裁判例のあてはめを押さえると良いと思いますhttps://t.co/fvb9R6LKA3
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月4日
(4-1)平等原則・平等権
2021年2月2日の北國新聞(石川県金沢市)の朝刊29面(社会面1)で、インタビュー記事が掲載されました。
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月6日
「ラブホテル苦境 コロナ禍 給付金、Go To対象外」という記事に関し、お電話で、憲法14条1項に違反する疑いがある旨回答いたしました(2月1日夕方に回答)。新聞をお送り頂き有難うございました。 pic.twitter.com/ciJpE6ZxuI
(4-2)平等原則・平等権(ポジティブ・アクション、逆差別)
受験生「ポジティブ・アクション目的で女性だけ短答+論文の総合点が1点低くても司法試験合格とする制度は違憲ですか?」
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月12日
回答「目的は正当であるとしても手段が不合理であり違憲(憲法14条1項違反)となると考えます。異論はあると思いますが」
(5)政教分離
政教分離は、令和元年予備試験論文を除くと、令和3年司法試験論文憲法で出ると9年ぶりの出題です。出題頻度は、旧司平成4年、10年、(新)24年という感じで、忘れた頃に出題される天災的論点といえますが、そろそろ危ない頃なので、受験生の皆様はしっかり準備しておきましょう pic.twitter.com/s7950Elnaa
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月20日
(6-1)表現の自由(公正な論評の法理)
司法試験受験生「これ、公正な論評の法理ですよね!」
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月5日
回答「はい。①批判、論評が専ら公益を図る目的のもので、②前提事実の主要な点で真実の証明があり、③論評の域を逸脱したものでなければ、不法行為不成立です」
差別批判投稿は「論評」、竹田恒泰氏敗訴 東京地裁 https://t.co/1jU3PC9Sxx
(6-2)知る権利
米の裁判例(2019年7月9日)では、トランプ大統領(当時)が一部のツイッター利用者をブロックした行為が言論の自由を保障する憲法に違反する旨判断されている
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月10日
市長が公的情報を発信する場合↓も、同様の問題がある
水戸市長が「Clubhouse」でトーク 閉鎖性指摘に「考える」 https://t.co/Ppc6Hzi2x6
(7)生存権
以前、行政法の授業で紹介しました。特に公務員志望の学生の皆様にお勧めです
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年1月29日
《首相発言が話題に》日本人の「6人に1人が貧困」 “生活保護”をイメージで語る人が知らないこと
「コロナ禍で今月の生活が苦しい」という時に“読むべき漫画”がある #健康で文化的な最低限度の生活https://t.co/I6jL2qbkFs pic.twitter.com/hqVmFV5RKS
竹下亘議員(島根2区)には「注意」する法的権限があるのか?地方自治法上の関与の①法定主義原則、②比例原則、③公正透明原則の三原則の趣旨すべてに違反するおそれがあり、憲法92条の趣旨にも悖る
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月18日
自民・竹下氏「島根知事を注意する」聖火リレー発言巡り - 東京オリンピック https://t.co/uLwu3lNRkm
2 行政法
(1)非申請型義務付け訴訟の訴訟要件等
改正続きの入管法は、令和3年司法試験論文行政法のヤマです。平成19年でも出ていますが、同年出題されなかった処分である在留特別許可の義務付け(非申請型)の訴訟要件と違法事由が本当に危ないです
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月19日
入管法など改正案を決定 国外退去処分の外国人に「監理措置」 2021年2月19日https://t.co/ZB62iS4WTP
(2)実質的当事者訴訟
法学セミナー2021年3月号(日本評論社)123頁で、拙稿(平裕介)「医療的ケアを要する障害児に対する合理的配慮[名古屋地判令和2・8・19]」が掲載されました
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月10日
実質的当事者訴訟(のうちの給付訴訟)の最新の裁判例解説です。発売日は2/12ですが既に書店には並んでいるようです。よろしくお願いいたします! pic.twitter.com/VPuzahRWe1
(3-1)実体的違法事由(裁量否定の場合)
難民不認定処分は、司法試験&予備試験ではまだ一度も出ていないので要注意です
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月19日
難民不認定処分は、裁量が否定される処分(元司法試験考査委員も裁量否定と解説)なんですが、受験生的には意外かもしれませんね
「入管制度から切り離した難民保護」の新法案、野党が共同提案https://t.co/6aYic5RKjm
(3-2)実体的違法事由(裁量肯定の場合)
本日取材を受け、関係記事が公表されました。地方公務員法29条1項柱書に係る効果裁量の逸脱濫用があるとされる可能性がある旨コメントさせて頂きました
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月19日
コンビニで「コーヒー窃盗」の職員が懲戒免職 熊本市の処分に「重すぎる」の声|弁護士ドットコムニュース https://t.co/6UdIrlALK4 @bengo4topics
(4)国家賠償(規制権限不行使)
法学教室2020年12月号(483号)164頁で、米田雅宏先生が東京高判令和2年8月28日を解説されています
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年1月24日
規制権限不行使の国賠責任(1条1項、特に違法性要件が問題)の裁判例ですが、司法試験論文行政法では、国賠法の話は聞かれず、非申請型義務付け訴訟の違法事由との関係で、規制権限不行使が問われています pic.twitter.com/xNgiyja6Hl
(5)損失補償(の要否)
このように特定の者が特別の犠牲を被っている状況ですが、補償不要というのが公法学では「一般的」ということのようです(稲葉一将「コロナ危機と公法学の行方」法学セミナー2021年3月号58頁参照)。が、甚だ疑問ですね
— 平 裕介 (@YusukeTaira) 2021年2月13日
居酒屋の社長「罰則導入でも…」 抗議の意味こめて営業https://t.co/kQFaggAX8Z
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以上、司法試験・予備試験受験生の皆様にとって、1つでもご参考になれば幸いです。