平 裕介(弁護士・公法研究者)のブログ

主に司法試験と予備試験の論文式試験(憲法・行政法)に関する感想を書いています。

2022-01-01から1年間の記事一覧

令和4年司法試験論文憲法の分析(5) 問題文のマークの方法と答案構成メモの例

4回にわたり令和4年司法試験論文憲法の分析をしてきて、いったん完結としたところでしたが、問題文のマークの仕方と答案構成(のメモ)をどう書いたかについては特に書いていなかったので、1回分追加して、写真で公表します。(マーカーの仕方) (答案構成) マー…

令和4年司法試験論文憲法の分析(4) 設問2の答案例

「国家からの自由と国家による自由という対抗図式でもって、いろいろな問題を見ていく場合に、簡単にどちらかの立場を100%採用して、それで割り切って事柄を解決することはおそらくできないでしょうし、またすべきでもないでしょう。実際には、いろいろな要…

令和4年司法試験論文憲法の分析(3) 設問1の答案例

「国家が費用や会場について支援することで作家の自由度を広げようというとき、同時に、こうした場面で国家がどう振る舞うべきかが新たな問題となってくる。ここでは、国家の支援を受けるからには国家の意向に従うべきだとする考え方ではなく、国家の『公』…

令和4年司法試験論文憲法の分析(2) 司法試験と政治

「まず、政治・行政の過程において学問の成果が正当に活用されるようなしくみを整えなければならない。そのためには、『政府が自分に都合のよい人を審議会の委員として選ぶのは当たり前』という一部の〝常識〟を改める必要がある。」 (岡田正則「学術会議任…

令和4年司法試験論文憲法の分析(1) “シン・主張反論型”(旧・主張反論型とリーガルオピニオン型との異同)の検討

「このブックレットでは、まずは化膿した傷口に目を凝らすようにして、冷徹に事実を見すえることにしたい。壊死した組織を再生し、国公立大学の公共性を鍛え直す試みもそこからしか始まらないからである。」 (駒込武「はじめに」駒込武編『「私物化」される…

学習履歴や授業の出欠状況などの「個人の教育データ」を外部機関と「共有」する政府の提言は、生徒のプライバシー侵害(憲法13条違反)の疑いが濃い ―東京地判平成20年10月24日判例時報2032号76頁に照らした検討

「いまの世の中、『最大多数の最大幸福を実現するのはいいことだ。その結果、少数の人が不幸になってもしかたない』という考え方をしている人の方が多い。政治も、経済も、基本的には、多くの人が賛成することが正しいこと、という考え方をしている。 逆に、…