平 裕介(弁護士・公法研究者)のブログ

主に司法試験と予備試験の論文式試験(憲法・行政法)に関する感想を書いています。

司法試験

行訴法上の「処分」性拡大の波及効果について

「結末ばかりに気を取られ この瞬間を楽しめない」[1] 世はGW真っ只中であるが,司法試験受験生にとっては中々苦しい時期だろう。 とはいえ,あと約2週間となった。ラストスパートをかけるには絶好のタイミングである。 さて,ブログを解説して1年が過ぎ…

LOVE 司法試験 ONLY (平成27年論文行政法)

世は空前のTOKIOブームのようだが,平成30年司法試験を受ける受験生においては,もちろんカラオケで「オンリー・ユー」などといって騒いでいる場合ではない。 直前期は「オンリー・司法試験」[1]である。 さて,一般論として,司法試験受験生から本試…

平成30年司法試験論文憲法 予想問題 解説(3)

前回のブログの続きである。 平成30年司法試験論文憲法 予想問題 yusuketaira.hatenablog.com 平成30年司法試験論文憲法 予想問題 解説(1) yusuketaira.hatenablog.com 平成30年司法試験論文憲法 予想問題 解説(2)yusuketaira.hatenablog.com とい…

平成30年司法試験論文憲法 予想問題 解説(2)

前回のブログの続きである。 平成30年司法試験論文憲法 予想問題 yusuketaira.hatenablog.com 平成30年司法試験論文憲法 予想問題 解説(1) yusuketaira.hatenablog.com ということで,本問の解説の続きであるが,以後,答案例(脚注付きのもの)を掲載す…

平成30年司法試験論文憲法 予想問題 解説(1)

前回のブログでは,平成30年司法試験論文憲法の予想問題を掲載した。 要するに,旧司法試験論文憲法平成14年第1問の改題である。 yusuketaira.hatenablog.com 問題意識自体はやや古いかもしれないが,周知のとおり,今日では(今日でもなお)ヘイト・ス…

平成30年司法試験論文憲法 予想問題

「未来は読めず 不安が付きまとう」 (Mr.Children「ヒカリノアトリエ」(2017年)) しかし,未来が読めてしまったら,出題予想の自由もなかったわけで,それはそれで寂しい気がする。 ということで,平成30年司法試験論文憲法の予想問題であるが,旧司法…

もしも司法試験論文行政法で判例変更を狙う主張を論じさせる問題が出たら ~公共施設の管理者の同意の処分性(判例は否定)を肯定する答案例~

Ⅰ 判例変更を狙う主張という難題 「『白か黒で答えろ』という難題を突き付けられ ぶち当たった壁の前で僕らはまた迷っている」[1] Mr.Children「GIFT」の歌詞であるが,司法試験の論文答案でも,殆どの場合,適法か違法か,合憲か違憲か,無罪か有罪かなど,…

答案の「書き初め」 平成22年新司法試験論文憲法の答案例(25条1項関係)

Ⅰ 忘れないで 久しぶりの更新である。 久しぶりすぎて,MISIA「忘れない日々」を歌ってしまった。[1] さて,司法試験受験生からの本試験の問題に関するご質問として,平成22年新司法試験論文憲法の25条1項違反(生存権侵害)の主張のところの書き方がよ…

平成29年司法試験採点実感(行政法)の感想 その1 司法試験の採点でマイナー判例を重視することに関するリスク

久しぶりの更新である。 受験生の皆様には本ブログの存在を忘れられてしまったかもしれないし,「忘れられない権利」は憲法上及び法律上保障・保護されないものと解されるが,細々と続けていきたい。なお,「忘れらんねえよ」の元ドラムの酒田さんは,本ブロ…

平成29年司法試験出題趣旨(憲法)の感想 その5 出題趣旨から探究する「答案枠組み」

平成29年司法試験論文憲法の出題趣旨(以下,単に「出題趣旨」ということがある。)についての感想のつづきである。 前回のブログでは出題趣旨第3・4段落の感想を述べ,前回までに出題趣旨の第1~5段落の感想を述べた。 yusuketaira.hatenablog.com そ…

平成29年司法試験出題趣旨(憲法)の感想 その4 出題趣旨と「人権パターン」の関係

平成29年司法試験論文憲法の出題趣旨(以下,単に「出題趣旨」ということがある。)についての感想のつづきである。 前回までに,同出題趣旨の第1・2・5段落の感想を述べた。 前回のブログでは,最後の方で,司法試験論文憲法で,「冒頭パターン」を活…

平成29年司法試験出題趣旨(憲法)の感想 その3 憲法答案の「冒頭パターン」

平成29年司法試験論文憲法の出題趣旨についての感想のつづきである。 前回は,同出題趣旨の第1段落の感想を述べた。 yusuketaira.hatenablog.com そこで,今回のブログでは,同出題趣旨の第2段落(及び第5段落)の感想を述べることとする。 〔平成29…

平成29年司法試験出題趣旨(憲法)の感想 その2:出題趣旨のいう「基本判例」・「学説」とは何か?

平成29年司法試験論文憲法の出題趣旨についての感想が途中になってしまっていた。長いこと放置してしまっていたが,憲法改正の前に表現の自由を行使しておかねばと思い立ち,約3週間ぶりに更新することとした。 yusuketaira.hatenablog.com とはいえ,憲…

平成29年司法試験出題趣旨(憲法)の感想 その1:受験生「中間審査基準でマクリーン判決を超えてもいいんですか?」→考査委員「いいんです。」

「平成29年司法試験 公法系第1問の感想(4)」(平成29年5月22日ブログ)などでも述べたとおり,平成29年司法試験論文憲法には,憲法学にとって喫緊の課題と評される「マクリーン判決を超える 」(愛敬浩二「判批」長谷部恭男ほか編『憲法判例百選Ⅰ〔第6版…

平成29年司法試験出題趣旨(行政法)の感想 その1:出題趣旨と 『基本行政法』との考え方の違い

平成29年司法試験論文式試験の「出題趣旨」が公表された。 本ブログの存在を筆者自身が殆ど忘れていたが,出題趣旨の公表を契機に,久しぶりに更新することとした。 といっても,今回は,行政法の出題趣旨で気になった1つの点だけに言及する。 (以下「出題…

「公共の安念」という「カミ」

司法試験受験生であれば,「公共の安寧」というキーワードは知っておかなければならない。 平成25年司法試験論文式試験公法系科目第1問(憲法)では,自治体(県)側の反論等で,東京都公安条例事件最高裁判決[1]の活用が求められており[2],この大法廷判…

平成29年予備試験論文憲法&平成30年司法試験論文憲法の対策(1) 25条の捌き方

Ⅰ はじめに ここのところ平成29年司法試験論文憲法・行政法の感想を書いてきたが,やや飽きてきてしまったため,「平成29年予備試験論文憲法&平成30年司法試験論文憲法の対策」と題して,今年の予備・来年の司法試験対策のブログを書いてみたいと思う。 今…

司法試験の勉強でのマーカーの色分け ~私の場合~

司法試験受験生時代、私は、伊藤塾の情報シートを使っていました。短答関係は、基本的には情報シートに一元化するように努めていました。 ちなみに、他に市販の短答式六法のような教材は基本的には使いませんでした。 マーカーの色分けをする勉強法もやって…