平 裕介(弁護士・公法研究者)のブログ

主に司法試験と予備試験の論文式試験(憲法・行政法)に関する感想を書いています。

【9/12(土)@伊藤塾(渋谷)・教室ライブ実施 & Zoomウェビナー同時配信】明日の法律家講座(講師:弁護士 平 裕介)のご案内と事例問題

明日になりましたが、2020年9月12日(土)18:30~20:30、本ブログ筆者で弁護士・元伊藤塾塾生の平(たいら)が講師を担当させていただく「明日の法律家講座」が伊藤塾東京校(渋谷)で実施されます!!

 

 

 

「講師プロフィール」と「講師からのメッセージ」は↓の伊藤塾の関係ウェブサイトのとおりです。

https://www.itojuku.co.jp/itojuku/afterpass/kouenkai/tomorrowlaw/bn/tokyo294_200229.html

 

ちなみに、今回は、“明日法”史上初の実施方法として、教室でのライブ実施と同時に、Zoomウェビナーでのライブ配信をするということになりました!

 

つきましては、オンラインでの参加を希望される方は、恐縮ですが、下記の参加予約フォームより、ご予約ください。ご予約は簡単です。よろしくお願いいたします。

https://www.itojuku.co.jp/form/618

 

 

講演会当日の流れ・予定は、次の通りです。

 

・18:30~18:35 伊藤塾の司会者による講師紹介

・18:35~19:55 講演(80分)

・19:55~20:05 休憩・質問用紙の回収

 (質問用紙は予め受付の際に配付いたします)

 ・20:05~20:30 質問に対する回答

 

さて, ↑のポスター・チラシ の「講師からのメッセージ」で言及している「講師作成の事例問題」を,上記講座実施に先立ち,以下のとおり,本ブログで公開いたします。司法試験や予備試験の問題形式を意識して作成し、また、近時のニュースで憲法行政法上の問題がある事例を元ネタに作った問題です。

 

司法試験受験生や予備試験受験生の方々や司法試験・予備試験の受験を検討されている方々が多く受講される可能性が高いと伺いましたので,どのような事例問題を取り上げるのか,事前に知りたいという方々向けに問題のイメージを持っていただきたいという趣旨から「資料」の一部を公開するものです。

 

もっとも,事前にご検討いただく必要はありません。全く読んでいなくても全く問題なく本講座を受講することができますし、この事例問題の検討がメインではありません(参考資料として、少し触れる程度です)。

司法試験・予備試験受験生ではない方々(他士業の先生方や、憲法あるいは行政法と関係のある社会問題にご興味のある方々)でも、楽しんでいただける講演にしたいと考えていますので、ぜひ安心して明日、12日の夜、お誘い合わせの上(もちろんお一人でも)渋谷の伊藤塾にいらしてください or 上記方法により、オンラインでご参加ください。

なお、すでに伊藤塾の担当者の方から多数のご予約があった旨伺っています(時節柄、オンラインでの参加者が多数となりそうです)。

 

そして、ご出席いただきました方orオンラインご参加のご予約いただきました方には、もちろん全員に無料で、担当講師が作成した答案例とレジュメを配布・配信いたします!!

 

ぜひとも多くの方々にご参加をご検討いただけると嬉しく思います。

よろしくお願いいたします!

 

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明日の法律家講座(2020年9月12日/講師:弁護士 平 裕介)資料①(問題)

 

次の文章を読んで,後記の〔設問〕に答えなさい。

 

 203×年2月10月,美術・芸術の専門家らで構成される団体「Aトリエンナーレ実行委員会」(以下「実行委員会」という。)は,実施期間を同年10月1日から同年12月10日までとする国際芸術祭「Aトリエンナーレ203×」(以下「本件芸術祭」という。)を行う目的で,B県の公の施設(地方自治法244条1項)であるB県美術館のギャラリー展示室(室内)や展示スペース(屋外)の利用許可を申請し,同年4月11日,B県美術館長は,その利用を許可した。なお,同美術館は,博物館法18条に基づき設置された施設である。

 本件芸術祭はB県やB県内の自治体C市の後援を受けて実施されるものであった。すなわち,本件芸術祭の総事業費は12億円であり,B県が6億円,C市が1億円を負担することが決まっていたが,本件芸術祭の協賛団体等の支援・協力を受けても実行委員会らによって残りの事業費全額を負担することは極めて困難な状況であった。

 そこで,B県は,文化庁に対し,同年4月8日,本件芸術祭の事業費の一部として使用する目的で,補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(以下「補助金適正化法」または「法」という。)5条により,文化庁の所管する国の文化資源活用推進事業の補助金の交付を申請したところ(以下この申請を「本件申請1」という。),同年5月10日,同事業としての補助金7800万円の交付を受けることが採択された。この「採択」は,補助金の交付申請に対する交付決定(法6条1項)それ自体ではなく,同決定の前の時点で慣行上なされている手続ではあるが,外部の文化芸術の有識者により構成される審査委員会の審議を経てなされるものであり,また,採択における交付予定金額とその後の交付決定における実際の交付金額が異なることは稀であり,採択段階で同事業の補助金を交付するとの決定がなされたにもかかわらず文化庁長官により同事業の補助金の交付決定が行われなかったという例は,同事業の補助金が同事業以外の目的に不正に流用されるおそれが交付決定前に発覚した場合を除いて,これまで1件もなかった。

 実行委員会の委員でもあり,過去に同規模の国際芸術祭の芸術監督を務めたこともあるDは,日本と外国との文化の交流に関する講演会,研究会,セミナー,芸術祭等の開催・参加・支援等を目的とする一般社団法人Eの代表者であった。そこで,Eは,同年4月11日,日本と外国との国際文化芸術の知的交流・研究等を目的とし,日本と外国との国際文化芸術の交流等に関する事業に対する助成金の交付事業(独立行政法人基金法(以下「基金法」という。)14条1項1号イに係る事業)を実施している独立行政法人F会に対し,Eの事業の1つである本件芸術祭への参加及び支援に係る事業について,独立行政法人F会法13条により準用される補助金適正化法5条により,助成金の交付を申請したところ(以下この申請を「本件申請2」という。),同年5月15日,助成金1200万円の交付を受けることが採択された。この「採択」も,上記文化庁による採択の場合と同じく,外部有識者による審査委員会の審議を経てなされるものであり,助成金の交付申請に対する交付決定(法6条1項)それ自体ではないものの,同決定に先立ち慣行上常に実施される手続であり,これまで,上記のような不正流用が発覚した場合を除き,採択後に不交付とされた例は1件もなかった。

 同年10月1日,予定どおり本件芸術祭が開催され,合計20の企画展が同時に実施された。その企画展の1つとして,キリスト,ムハンマドブッダ天照大御神などの肖像群が燃えるように見える映像を含む映像作品「無宗教の世界 ~神々の成仏~」(1回の上映時間は約3分,以下この作品を「本件映像作品」という。),大学生と見られる女性の胸部を大きく強調して描いた現代的な美術作品「鵜澤ちゃんも遊びたい!」など,過去に美術館から撤去されたり報道等で問題があるのではないかと言われたりしたことのある作品を含む美術作品や芸術作品を約25点展示した企画展「滅私奉『公共』・その後」(以下「本件企画展」という。)も予定どおり開催された。本件芸術祭開催日初日は,特に本件企画展を含むすべての企画展に対する抗議の電話等はなかったが,翌日の同年10月2日午後,C市長Gが,ツイッターで「本件企画展は内容が不適切であるから,直ちに中止すべきである!」と述べ(以下,「本件ツイート」という。なお,C市長Gのツイッターをフォローしている者は約30万人いた。),また,翌日の午前には本件企画展の会場の入り口付近で座り込みをして「公益に反する表現!即刻中止!!」と書かれたポスターを掲げ,抗議活動を展開したことや,S官房長官が「本件企画展のことが報道されているが,本件芸術祭に関する補助金の決定にあたっては,事実関係を精査して適切に対応したい」と述べたことから,このC市長Gの活動が新聞報道やインターネットのニュース等の記事等を通じて広く取り上げられることとなった。そして,本件ツイートの後,同年10月2日午後から翌3日にかけ,インターネット上を中心に本件企画展を非難したり,本件企画展に美術作品・芸術作品を出展した作者らを誹謗中傷したりする市民らのツイートが多数なされるようになり,また,同月2日には合計200件の,同月3日には合計1000件の抗議の電話がB県や実行委員会の苦情受付窓口になされ,同日午後4時頃にはB県の市民窓口課に「ガソリン缶と花火を持って本件企画展の会場にお邪魔しますんで。すべて燃やすよ。愛国者(普通の日本人)より」というFAXが送られるという事件(以下「本件脅迫事件」という。)まであった。

 B県は,本件脅迫事件があったことなどから,同年10月4日から同月24日まで,本件企画展を中止し,本件企画展をより安全に安心して開催できるよう準備期間を設け,本件企画展会場内及びその周辺の警備体制を強化したり,本件企画展の閲覧を希望する者に対して本件企画展の趣旨を説明する10分程度の説明会への参加を義務付けたりするなどの対策を講じた。B県は,本件芸術祭の開催に当たって事前にB県警と協議するなど本件企画展を含む企画展の各会場周辺における通常の警備体制を整えていたため,比較的速やかに警備体制を強化することができた。なお,同月4日以降はB県や実行委員会の苦情受付窓口への電話は平均して10件程度に減少した。同月8日,本件脅迫事件の被疑者Hが逮捕され,また,本件企画展以外の企画展等は特に中止されることなく予定通り平穏に開催されていた。

 同月25日,本件企画展が再開された。同日のみB県や実行委員会の苦情受付窓口への電話が50件程度あったものの,同月26日以降は平均して10件程度に減少した。

 同月26日,文化庁は,本件申請1の審査をしたところ,補助金適正化法6条等に基づき,全額不交付とする決定をした(以下,この決定を「本件処分」という)。文化庁が本件処分を行うと同時にB県に交付した文書によると,本件処分の理由は,補助金申請者であるB県が,展覧会の開催に当たり,来場者を含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識しえたにもかかわらず,それらの事実を文化庁から問合せを受けるまで文化庁に申告しなかったことにより,実現可能な内容になっているか及び事業の継続が見込まれるかについての適正な審査が行えなかったことであった。

 他方,F会(F会理事長)は,本件申請2につき審査をした上で,同年10月6日,Eに対し,助成金全額の交付決定をしたが,同月8日,本件映像作品の制作者の一人であるIが麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いで逮捕され,同年12月22日,懲役1年6月,執行猶予3年の有罪判決を受けたことから,翌23日,同交付決定を取り消す決定(以下「本件取消決定」という。)をした。本件取消処分を行うと同時にF会がEに交付した文書には,「本件映像作品については,麻薬及び向精神薬取締法違反により有罪が確定した者であるIが本件映像作品の制作に関わっていることから,助成金の交付は公益性の観点から適当ではないため,独立行政法人基金法17条,補助金適正化法17条1項により,本件取消処分を行った。」と記載されていた。

 

〔設問1(憲法・司法試験論文タイプ)〕

 あなたは,司法修習における実務修習の選択型プログラム「公法系訴訟の実務」を選択した司法修習生J(以下「修習生J」という。)として,本件処分に関する憲法上の問題について,意見を述べることになった。その際,同プログラムの指導担当弁護士Kからは,参考とすべき判例や自己の見解と異なる立場に言及するように求められている。

 以上のことを前提として,【参考資料】を参照しつつ,あなた自身の意見を述べなさい。

 

 

〔設問2(行政法・司法試験論文タイプ)〕

(1) Eは,F会に対して本件取消決定の取消訴訟(行訴法3条2項)(以下「本件訴訟」という。)を提起することを検討しているが,本件訴訟を適法に提起することができるか。同項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」という訴訟要件に絞って,F会が行う反論を踏まえて,修習生Jの立場から,【検討会議の会議録】及び【参考資料】を参照しつつ検討しなさい。

(2) 本件取消決定には補助金適正化法に反する違法があるとのEの主張として,どのようなものが考えられるか。F会が行う反論を踏まえて,修習生Jの立場から,【検討会議の会議録】及び【参考資料】を参照しつつ検討しなさい。

 

 

〔設問3(憲法・予備試験論文タイプ)〕

 上記事例とは異なり,実行委員会によるB県美術館のギャラリー展示室(室内)や展示スペース(屋外)の利用許可の申請に対し,B県美術館長が,203×年4月11日,新型αウィルスの蔓延拡大を防止するという理由から,地方自治法244条2項の「正当な理由」があるとして,同展示室や展示スペースの利用を許可しないという申請拒否処分(以下「本件不許可処分」という。)をしたものとする。この事例につき,必要に応じて対立する見解にも触れつつ,同事例に含まれる憲法上の問題を論じなさい(ただし,損失補償について論じる必要はない)。

 なお,上記処分時の203×年4月11日時点では,未だ同ウィルスに対するワクチンは開発されていたものの日本には同ワクチンが未だ普及していないこと,同ウィルスについては特に高齢者が罹患した場合の死亡率は高いこと(70代が17%,80代が30%),同時点における医学的及び疫学的知見では,密閉された空間において,人が密集し,近い距離で会話をするという3つの条件が揃った場合に同ウィルスが人から人へ感染しやすいということが判明していること,それ以外の場合においてどのように同ウィルスが感染するのか(あるいは,全く感染しないのか)などについては未だ医学的・疫学的に十分な解明がなされていないことを本設問の前提とすること。

 

 

〔設問4(行政法・予備試験論文タイプ)〕

(1) 〔設問3〕の本件不許可処分が適法であると仮定する場合,本件芸術祭のコンセプトに沿って芸術作品を創作していた芸術家らは,損失補償を請求することができるか。損失補償の要否の点に絞って論じなさい。

なお,すでに同芸術作品は完成しており,また,同芸術家らは,本件芸術祭に作品を出展した場合に報酬を受け取れることとなっていたものとする。

(2) 上記事例とは異なり,文化庁による本件申請1に対する処分が補助金全額(7800万円)を不交付とするものではなく,申請額全額から本件企画展に要する経費の一部の分を差し引いた分の6700万円を交付する内容であったとものとする場合,B県は,国を被告として,どのような訴訟を提起するべきか。

(3) 〔設問3〕の場合において(本件不許可処分ではなく)B県美術館の利用許可処分がなされたが,同処分後,B県からEに対し,新型αウィルスの蔓延拡大をできる限り防ぐため,複数回にわたり,B県美術館の利用の自粛を要請する行政指導がなされた。そして,B県及び厚生労働大臣においてB県が上記行政指導をしたこと,新型αウィルスはなお収束しておらず予断を許さない状況にあること,仮にEが実際に利用するのであれば大変遺憾であることといった情報やB県・厚生労働省の見解を各公式ウェブサイト及びSNS(FacebookTwitter)で表明したことから,同様の芸術祭を開催したときと比較して来場者が少なくなり,本件芸術祭のチケットが殆ど売れなかった。この場合,B県や国はEに対する損害賠償責任を負うか。国家賠償法上の違法性(同法1条1項)の点に絞って論じない。

 

 

【検討会議の会議録】

修習生J:「公法系の法律や憲法と関係する公法系の事件の面白さって何ですか?」

弁護士K:「そのことは,伊藤塾で私が講師を担当させていただく『明日の法律家講座』でもお話します。9月12日です。ライブとネット同時配信なので、ぜひ聞いてください。」

修習生J:「その講座,延期になったんですよね。検討してみます。」

弁護士K:「有難うございます。本件訴訟も公法系の事件ですよね。一緒に訴状案を検討してみましょう。論点ごとにメモを作成してもいいですね。Eは,本件訴訟を適法に提起できるでしょうか。助成金交付給付行政における行為は,その性質上,本来的には契約上の行為と解されるという見解が有力ですから,訴訟要件である処分性の肯否を検討しておきましょう。」

修習生J:「元司法試験考査委員をされていた中原茂樹先生の『基本行政法』に数頁にわたって書いてあった論点ですね。今,ちょうど持っていますが,第3版だと307頁以下です。」

弁護士K:「よく勉強されていますね。Jさんには,まず,本件取消決定の処分性の問題を検討していただきますが,その際には,本件の助成金基金法との関係や,取消の対象である助成金の交付決定の性質についても検討してください。」

修習生J:「かしこまりました。」

弁護士K:「次に,本案の問題ですが,本件取消決定は違法でしょうか。どのような違法事由があるのか,関係法令なども考慮しながら検討してみましょう。」

修習生J:「はい。ところで,憲法上の主張は,三段階審査で書けばいいんですよね。」

弁護士K:「いや,事案類型によると思いますので,必ずしもそうとは限りませんよ。実務だけではなく,令和元年予備試験論文憲法も,三段階審査では書きにくかったと思います。」

修習性J:「そうしますと,場合によっては,憲法行政法,同じような書面あるいは答案になるのでしょうか。」

弁護士K:「基本的には,そうなると思います。ただし,司法試験や予備試験の答案の場合には,引用したり強調したりする条文が多少変わるのが普通でしょうね。憲法では憲法の条文に言及する比重が大きくなり,行政法では個々の行政法規に言及することが多くなります。」

修習性J:「わかりました。訴状案を書くための準備として,論点ごとにメモを作成してみたいと思います。」

 

 

【参考資料 関係法令】

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)

補助金等の交付の申請)

第5条 補助金等の交付の申請(契約の申込を含む。以下同じ。)をしようとする者は、政令で定めるところにより、補助事業等の目的及び内容、補助事業等に要する経費その他必要な事項を記載した申請書に各省各庁の長が定める書類を添え、各省各庁の長に対しその定める時期

までに提出しなければならない。

補助金等の交付の決定)

第6条 各省各庁の長は、補助金等の交付の申請があつたときは、当該申請に係る書類等の審査及び必要に応じて行う現地調査等により、当該申請に係る補助金等の交付が法令及び予算で定めるところに違反しないかどうか、補助事業等の目的及び内容が適正であるかどうか、金額

の算定に誤がないかどうか等を調査し、補助金等を交付すべきものと認めたときは、すみやかに補助金等の交付の決定(契約の承諾の決定を含む。以下同じ。)をしなければならない。

2~4 (略)

(決定の取消)

第17条 各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他(中略)法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すこと

ができる。

2~4 (略)

(理由の提示)

第21条の2 各省各庁の長は、補助金等の交付の決定の取消し、補助事業等の遂行若しくは一時停止の命令又は補助事業等の是正のための措置の命令をするときは、当該補助事業者等に対してその理由を示さなければならない。

(行政手続法の適用除外)

第24条の2 補助金等の交付に関する各省各庁の長の処分については、行政手続法(平成5年法律第88号)第2章及び第3章の規定は、適用しない。

(不服の申出)

第25条 補助金等の交付の決定、補助金等の交付の決定の取消、補助金等の返還の命令その他補助金等の交付に関する各省各庁の長の処分に対して不服のある地方公共団体(中略)は、政令で定めるところにより、各省各庁の長に対して不服を申し出ることができる。

2~3 (略)

 

補助金適正化法施行令(昭和30年政令第255号)

補助金等の交付の申請の手続)

第3条 法第五条の申請書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 申請者の氏名又は名称及び住所

二 補助事業等の目的及び内容

三 補助事業等の経費の配分、経費の使用方法、補助事業等の完了の予定期日その他補助事業等の遂行に関する計画

四 交付を受けようとする補助金等の額及びその算出の基礎

五 (略)

2 前項の申請書には、次に掲げる事項を記載した書類を添附しなければならない。

一 申請者の営む主な事業

二 申請者の資産及び負債に関する事項

三 補助事業等の経費のうち補助金等によつてまかなわれる部分以外の部分の負担者、負担額及び負担方法

四 補助事業等の効果

五~六 (略)

3 (略)

 

独立行政法人基金法(平成14年法律第×××号)

(振興会の目的)

第3条 独立行政法人日本芸術文化振興会(以下「振興会」という。)は、芸術家及び芸術に関する団体が行う芸術の創造又は普及を図るための活動その他の文化の振興又は普及を図るための活動に対する援助(中略)等を行い、その振興及び普及を図り、もって芸術その他の文化の向上に寄与することを目的とする。

(業務の範囲)

第14条 振興会は、第3条の目的を達成するため、次の業務を行う。

一 次に掲げる活動に対し資金の支給その他必要な援助を行うこと。

イ 芸術家及び芸術に関する団体が行う芸術の創造又は普及を図るための公演、展示等の活動

ロ~ハ (略)

 二~六 (略)

2 (略)

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の準用)

第17条 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)の規定(罰則を含む。)は、第14条第1項第1号の規定により振興会が支給する資金について準用する。この場合において、同法(中略)中「各省各庁」とあるのは「独立行政法人基金」と、「各省各庁の長」とあるのは「独立行政法人基金の理事長」と、同法第2条第1項(第2号を除く。)及び第4項、第7条第2項、第19条第1項及び第2項、第24条並びに第33条中「国」とあるのは「独立行政法人基金」(中略)と読み替えるものとする。

 

○文化芸術基本法(平成13年法律第148号)

(目的)

第1条 この法律は、文化芸術が人間に多くの恵沢をもたらすものであることに鑑み、文化芸術に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、文化芸術に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化芸術に関する活動(以下「文化芸術活動」という。)を行う者(文化芸術活動を行う団体を含む。以下同じ。)の自主的な活動の促進を旨として、文化芸術に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術活動を行う者の自主性が十分に尊重されなければならない。

2 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術活動を行う者の創造性が十分に尊重されるとともに、その地位の向上が図られ、その能力が十分に発揮されるよう考慮されなければならない。

3 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、国民がその年齢、障害の有無、経済的な状況又は居住する地域にかかわらず等しく、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境の整備が図られなければならない。

4 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、我が国及び世界において文化芸術活動が活発に行われるような環境を醸成することを旨として文化芸術の発展が図られるよう考慮されなければならない。

5 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、多様な文化芸術の保護及び発展が図られなければならない。

6~10 (略) 

 

○博物館法(昭和26年法律第285号)

(この法律の目的)

第1条 この法律は、(中略)博物館の設置及び運営に関して必要な事項を定め、その健全な発達を図り、もつて国民の教育、学術及び文化の発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この法律において「博物館」とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(中略)し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い(中略)地方公共団体(中略)が設置するもので次章の規定による登録を受けたものをいう。

2~3 (略)

(館長、学芸員その他の職員)

第4条 博物館に、館長を置く。

2 館長は、館務を掌理し、所属職員を監督して、博物館の任務の達成に努める。

3 博物館に、専門的職員として学芸員を置く。

4 学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる。

5~6 (略)

(設置)

第18条 公立博物館の設置に関する事項は、当該博物館を設置する地方公共団体の条例で定めなければならない。