平 裕介(弁護士・公法研究者)のブログ

主に司法試験と予備試験の論文式試験(憲法・行政法)に関する感想を書いています。

Twitterによる政府広報が違法となる場合 ―平成15年東京高裁判決(O-157食中毒調査結果公表事件)は令和2年のクライシス・コミュニケーションのあり方を「予言」していた。厚労省・内閣官房等による羽鳥慎一モーニングショー等名指しツイートの法的問題点を憲法学と行政法学に照らし分析する。

さて、『フォーリン・アフェアーズ』の論文は「ウィルス」という言葉を使って、イリベラル・デモクラシーが言うなればウィルスのように広がっていくことを、憂慮するのです。[1]

 

 

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(本ブログ記事の概要)

本ブログ記事は、厚労省内閣官房等による羽鳥慎一モーニングショー等名指しツイートの法的問題点につき、憲法学と行政法学の観点から、弁護士・研究者である筆者が分析検討したものである。

 

東京高判平成15年5月21日(大阪O-157食中毒調査結果公表(損害賠償)事件判決)に照らすと、政府のTwitterによる広報(番組名・個人名の公表)には国家賠償法上違法の疑いがある。また、違法とはいえない(適法な)場合でも、憲法29条3項に基づき、損失補償請求をなしうる余地がある。

 

この平成15年の高裁判決を書いた裁判官の中に、令和時代から平成時代にタイムスリップあるいは転生してきた裁判官がいるのではないか?…と思えてしまうほど、この判決は、今日におけるクライシス・コミュニケーションのあり方を予言していたような内容である。

 

 

(目次)

1 政府広報と「政府の言論の法理」―憲法学からのアプローチ

2 政府広報と氏名等の「公表」―行政法学からのアプローチ

3 政府広報と「損失補償」―憲法学及び行政法学からのアプローチ

4 東京高判平成15年5月21日(大阪O-157食中毒損害賠償事件判決)の“予言”

5 伊藤塾「明日の法律家講座」(4月4日(土)18:30~)のご案内 ―憲法行政法を扱う法曹の仕事の面白さについてお話しします

 

 

 

1 政府広報と「政府の言論の法理」―憲法学からのアプローチ

 

Twitterによる政府広報が問題ではないかということが、昨今Twitter上などのSNSを中心に議論されている。

 

 

リテラ編集部「安倍政権がコロナ対応よりも言論弾圧に必死!『モーニングショー』や岡田春恵教授を標的、デマと詐術を駆使して批判を封じ込め」(2020年3月7日9時55分)

https://lite-ra.com/2020/03/post-5296.html

 

 

この点に関し、政府としては、Twitterによる政府広報も、憲法学における「政府の言論」(政府言論)に当たるのであるから、その内容は自由であって、「問題ない」(○内閣官房長官を意識したわけではない)、と主張することが考えられる。

 

さて、「政府の言論」とは何だろうか?

政府の言論の法理の研究者の論考を引用しよう。

 

「民主主義のもとでの政府は、自らの掲げる政策理念を説明し、政策の是非を国民に問い、国民から同意を徴達することによってのみ、統治の正当性を獲得することができる存在であるから、自らの言論内容を自ら決する機能が保障されないとしたら、自己の存在根拠そのものを否定されることになる。そうであるとすれば、政府には、自ら行う表現活動に対しては、表現内容中立の要請を課されないことが保障される必要がある。かかる理解にもとづき、私人の表現活動を統制する場面での政府には表現内容中立性の要請が課されるけれども、言論市場において自ら表現活動に従事する場面での政府には表現内容中立性の厳格な要請は解除される、という考え方が生まれた。『政府の言論の法理』(government speech doctrine)と呼ばれる考え方……である。」[2](下線は引用者)

 

この法理の「射程」範囲は必ずしも明確ではない[3]が、Twitterによる政府広報も、この「政府の言論」に当たるということなると、政府としては、政府が自由な内容でのツイートをすることができ、それは民主主義に適合する行政作用であるから、違憲あるいは違法なものとならず、法的な問題はないといった主張を展開することも予想できるだろう。

 

そうすると、憲法学の知見に照らすと、正面から、放送事業者等の「放送の自由」[4]表現の自由憲法21条1項)の侵害や「検閲」(憲法21条2項前段)に該当するとして、憲法違反の主張をすることは基本的には難しいのではないかと思われる[5]

 

 

2 政府広報と氏名等の「公表」―行政法学からのアプローチ

 

次に、行政法の観点から検討してみたい。

 

厚労省内閣官房等による羽鳥慎一モーニングショー等の名指しツイートは、政府がTwitterによる政府広報に際して個々の番組名や氏名等を公表する行政活動をするものと捉えることができるだろう。

 

行政法学で、氏名等の「公表」は、①情報提供による国民の保護を主目的とするものと、②行政上の義務違反に対する制裁を主目的とするものとに区分される[6]

 

今回の政府広報としてのツイートは前者(①)に当たると考えられる。

 

そうすると、国民の保護を主な目的とする情報提供なのであるから、特に法的に問題はないということなのだろうか。

 

判例に照らすと、そうではない。

 

その裁判例とは、東京高判平成15年5月21日判例時報1835号77頁(大阪O-157食中毒損害賠償訴訟控訴審判決)である。以下、この判決を「本判決」という。

 

裁判所ウェブサイトでの検索結果の一部は以下のとおりである。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=20105

 

 

(判示事項)厚生大臣(当時)による集団食中毒の原因についての調査結果の公表が国家賠償法1条1項にいう違法な行為に当たるとされた事例

 

(裁判要旨)厚生大臣(当時)が,貝割れ大根が集団食中毒の原因と断定するに至らない調査結果にもかかわらず,記者会見を通じ,食品関係者に「何について」注意を喚起するかなどについて所管行政庁としての判断等を明示せず,曖昧な調査結果の内容をそのまま公表し,かえって貝割れ大根が原因食材であると疑われているとの誤解を広く生じさせ,市場における評価の毀損を招いたことは,国家賠償法1条1項にいう違法な行為に当たる。

 

 

本判決は、国が逆転敗訴したケースであり(第1審の東京地判平成13年5月30日判例時報1762号6頁は請求棄却で原告らが敗訴した)、政府による広報との関係でも重要な意味を持つ裁判例であると考えられる。

 

本件は大腸菌O-157による集団食中毒の原因食材として、特定の業者から出荷されたカイワレ大根の可能性が否定できないという公表[7]についての国家賠償法上の違法性が問われたケースである。

 

本判決は、主権国家が生命や身体の安全に対する侵害及びその危険から国民を守ることも国民に負託された任務の一つであることなどに照らし、公表行為の意義を認めつつも、次のとおり述べ、違法(国賠法1条1項)となる場合についての基準を示した。

 

「本件各報告の公表は,なんらの制限を受けないものでもなく,〔①〕目的,〔②〕方法,〔③〕生じた結果の諸点から,是認できるものであることを要し,これにより生じた不利益につき,注意義務に違反するところがあれば,国家賠償法1条1項に基づく責任が生じることは,避けられない。」(下線と①~③は引用者)

 

このように、本判決は、公表の違法性の判断基準(一般論)として、公表行為の①目的、②方法、③生じた結果の3点から、国家賠償法1条1項の違法性が認められ、国が損害賠償責任を負う場合があると述べている。

 

この判断基準の法的評価については、以下の宇賀克也東京大学教授(当時、現在は最高裁判事)の次の解説(本判決の判例解説)が特に参考になる。

 

「公表の違法性の判断基準については、私人間の名誉毀損に係る不法行為の成立要件をそのまま当てはめようとする裁判例が主流であったが、私人間の名誉毀損に係る不法行為の成立要件は、表現の自由と名誉権の調整を図るものであるのに対し、行政主体は表現の自由の享有主体ではなく、また、国民(住民)に対する説明責任を負う主体であるから、私人間の名誉毀損に係る不法行為の成立要件とは異なる基準で違法性が判断されるべきことは、かねてより少なからぬ学説の指摘するところであった。本件判決において、この学説の立場が支持されたとみることができると思われる。」(下線及び太字による強調は引用者)[8]

 

本判決は、このような判断基準に照らし、違法性を認定し、国の賠償責任を肯定したのである。

 

もちろん同じ事実関係ではないが、厚労省内閣官房等による「羽鳥慎一モーニングショー」などを名指ししてツイートする政府広報としての公表行為も、①目的、②方法、③生じた結果の3点を検討すべきではないかと思われる。

 

詳細な検討はここではしないが、他の番組や新聞記事などでも同様の内容の報道をしている事実が認められるとすると、①コロナ対策目的(被害や危険の拡大防止)は正当であるとしても、②その方法については、あえて「羽鳥慎一モーニングショー」など特定少数の番組名等を取り上げることがコロナ対策の目的を達成するために本当に必要であったのか疑問が残るといえるし、なぜ当該番組名だけなのか(不平等)分からないところがあり(見せしめ的な方法ともいえる)、さらに、③例えば、仮にテレビ局などにクレームの電話などが殺到した、視聴率が相当程度落ちたということになると、放送事業者の業務に具体的な支障が生じたといえることになるだろう。

 

ちなみに、番組名に含まれる羽鳥慎一アナウンサーや、岡田春恵教授(なお、岡田教授の名前は出さない場合でも特定できれば殆ど同じことである。)といった個人(公職者ではない個人)を名指しする政府のツイートは、さらに当該個人にとって③重大な結果を生じさせる危険があるといえる。

 

仮に国賠法上違法な政府広報(ツイート)だということになると、「言論弾圧」と比喩的に批判される記事を書かれたり、そのような番組を放送されたりしても、政府には反論の余地はないと言わなければならないだろう。そのような報道に対し、さらに政府が個々の番組名や個人を(再度)名指しする反論ツイートをすることなど言語道断ということになるわけである。

 

 

3 政府広報と「損失補償」―憲法学及び行政法学からのアプローチ

 

控訴人らは、控訴審において、損失補償請求憲法29条3項)に係る主張を追加したが、次の本判決の判示とおり、却下されている。

 

「5 争点(4)(損失補償の可否)について

 控訴人らが当審において追加的に併合して審理することを求める損失補償請求につい

ては,被控訴人が請求の追加に同意せず,当審において,この請求について審理することはできず(最高裁平成5年7月20日第三小法廷判決・民集47巻7号4627頁),損失補償に係る訴えは,不適法であり,却下を免れない。」

 

しかし、この手の事案で、違法性が仮に否定された場合で、損失補償請求(憲法29条3項に基づく直接請求)をなしうるとの主張を一審段階から行っていた場合には、請求が却下されるわけではなく、実体判断がなされることになる。

 

損失補償請求が認められるか否かは、実務的には、「特別の犠牲」と言えるか否かで判断される[9]

 

つまり、厚労省内閣官房等による「羽鳥慎一モーニングショー」などを名指ししてツイートする政府広報としての公表行為が、仮に国賠法上違法ではなく、適法なものであったとしても、例えば個人名を公表された者の損失が特別の犠牲に当たると認められる場合には、政府(国)は、その損失を補償しなければならない。違法ではないから法的に問題ないということにはならず、適法であっても、国が市民の損失を補填すべき場合があるのである。

 

ちなみに、損失補償は、憲法学でも行政法学でも扱われるテーマであり、司法試験の論文式試験でも憲法でその理解が問われた年もあれば、行政法で聞かれるという年もある。法律家の実務ではそれほど多くはみられない損失補償請求ではあるが、司法試験との関係ではかなりの重要度を占めているものといえる。

 

 

4 東京高判平成15年5月21日(大阪O-157食中毒損害賠償事件判決)の“予言”

 

本判決は、クライシスコミュニケーションのあり方が正面から問われた[10]訴訟であった。

 

以下のような判示も見られ、昨今の日本国の姿を予言した内容とすらいえよう

 

(以下、本判決の一部を引用(下線や太字強調は引用者))

 

 ア 主権国家は,生命や身体の安全に対する侵害及びその危険から国民を守ることも国民に負託された任務の一つで,国民も,これを理解し,納税等により必要な負担をすることを了解する。自国民の生命や身体の安全の確保に関心を払わない国家及び政府は,自国民の信頼を得ることはなく,他国の侮りと干渉に翻弄されるに至るのが常で,国際社会における名誉ある地位(憲法前文)を得ることもない。

 イ 有毒ガスにより自国民を虐殺したとされる他国政府の例に加え,有毒ガスにより無差別殺戮を実行した我が国のカルト集団等の例に接しては,無法国家やテロ組織による生物化学兵器による攻撃も,杞憂とばかり言い切れず,昨今の原因不明の疾病の蔓延という異常事態の発生(公知の事実)を目の当たりにすると,我が国の国家としての危機管理の有り様が問われている感を強くする。生物化学兵器等の人為的なもの,又は疾病の蔓延等の人為的でないもの,いずれであれ,国民の生命,身体に危険を及ぼす異常事態に対しては,国家及び政府は,国民に負託された任務の遂行として,事態を科学的に解明し,これに基づく適切な対策を講ずることが求められる。事実の隠ぺいは,事態の悪化を招くに終わるのが常である。殊に,疾病の場合においても,法制上,患者を隔離し,治療と病気の蔓延の防止に実効のある措置を講じることの困難な我が国においては,事態の悪化を防ぐ方策は,原因が究明され,有効な対策が講じられるまで,国民に正確な情報を開示して事態を理解させ,その理性的な対処に待つ他ないのが実情である

 ウ 国民の生命及び身体の安全の確保に関し,厚生省が,第2次世界大戦後の我が国の復興,発展とこれによりもたらされた国民生活の向上に絶大な寄与をして来たことは,国民の等しく認めるところである。一方において,この約40年の間サリドマイド,スモン,クロロキン,コラルジル及びHIVによる薬剤による被害が争われた訴訟において,厚生省は,薬剤の危険に関する情報に接しながら,利用者の生命,身体の安全より,製造者の利益を重視し,適切な対処又は情報の開示をしなかったとして,被害者から追及を受けて来たことも,公知の事実である

 

(中略)

 

 6 まとめ

 以上のとおり,控訴人らの請求は,取り扱う商品について違法に市場評価及び信用を毀されたことに基づき,本判決により,市場評価及び信用が回復されることをも考慮し,各100万円(一部の者は,請求額)及び遅延損害金の限度において認容する。中間報告の公表後,貝割れ大根の生産及び販売が受けた苛酷な影響は,前記認定の事実からも,その一端を窺うことができる。控訴人らの貝割れ大根の生産及び販売が,今もなお,当時の販売量を回復しない(控訴人らの主張)ことを考慮すると,控訴人らの怒りの程は察するにあまりあるが,当裁判所は,この判決において判断した以上の解決を見出すことはできない。控訴人らが突きつける怒りは,この訴訟を契機として,被控訴人において,非常時に遭遇してから対処するのではなく,将来の危機に備え,国民の利益をどのように調整し,確保するかについての技能を高める契機とすることによって解消されることを期待すべきものと考える

 

(以上、本判決の一部を引用(下線や太字強調は引用者))

 

 

本判決を書いた裁判官3名(江見弘武氏・白石研二氏・土谷裕子氏)の中に、令和時代から平成時代に(判決時は平成15年)タイムスリップあるいは転生してきた裁判官がいるのではないか?……と思うほどの内容といえるだろう。

 

政府は「先手先手」とは真逆の「後手後手」の対応をし続けており、その様子が日々報道されている。新聞記事や放送等の報道は、少なくとも客観的な事実を述べたり妥当な範囲内で客観的事実に評価を加えたりするものであれば、「デマ」「フェイク」などと称されるべきものでは決してない。

 

あえて繰り返すが、本判決は「疾病の蔓延等の人為的でないもの,いずれであれ,国民の生命,身体に危険を及ぼす異常事態に対しては,国家及び政府は,国民に負託された任務の遂行として,事態を科学的に解明し,これに基づく適切な対策を講ずることが求められる。事実の隠ぺいは,事態の悪化を招くに終わるのが常である。」(下線及び太字による強調は引用者)と警告している。

 

寺田学衆議院議員(選挙区は秋田一区(秋田市))がTwitter(2020年3月7日18:05、長島昭久衆議院議員のニュース記事の引用リツイートをさらに引用したリツイート)で「クルーズ船で陽性になった方が、都内で入院後に秋田に戻られたことが、県には一切伝えられていませんでした。また、搭乗した便名も航空会社の了解が得られないから公表しないと、濃厚接触者も自覚できていません。困っております。国と自治体の情報共有は課題と思います。」と述べている。極めて正当な指摘であり、国(厚労省等)は,ウィルスの危険に関する情報に接しながら,利用者の生命,身体の安全より,航空会社の利益を重視し,適切な対処又は情報の開示をしないなどの対応に終始しているようであるが、直ちに開示しすべきである。

 

また、Twitterを用いて不必要不相当に個人や番組名等の氏名等を公表したり、客観的事実を捻じ曲げたり、報道や表現の自由を不当に萎縮させるような政府広報(ツイート)することも、今後はやめるべきである。

「官邸の意向」を「忖度」してやったというのも、もちろん正当な理由にはならない。公益に反する、言論弾圧と批判されても仕方のない所業であり、忖度に基づく違法(ないし不当)な行政活動を行う公務員も同罪である。

 

 

今からでも、現政府、公務員、政府関係者は、本判決の各指摘を大いに参考にしなければならない。

 

 

 

5 伊藤塾「明日の法律家講座」(4月4日(土)18:30~)のご案内 ―憲法行政法を扱う法曹の仕事の面白さについてお話しします

 

以上、厚労省内閣官房等による「羽鳥慎一モーニングショー」などを名指しするツイートの問題に関し、憲法行政法の双方(公法)からの簡素な分析を試みた。

 

「広報」の問題について「公法」の観点からアプローチしたが、同様に憲法行政法両方からの検討をすると良いと思われる問題が、文化芸術活動への政府の助成(補助金助成金等の給付)をめぐる問題である。

 

この問題に関しては、文化庁あいちトリエンナーレ2019の補助金不交付決定処分等につき、法学の世界では憲法学者を中心に様々な検討がなされているが、行政法行政法学)からの検討は多くないように思われる。

 

そこで、告知させていただくが、

 

伊藤塾・東京校(渋谷)にて、元伊藤塾の塾生(ただし基本的には中央大学駅前校に通っていました。)でもある本ブログの筆者が「明日の法律家講座」の講師を担当させていただきます。

https://www.itojuku.co.jp/itojuku/afterpass/kouenkai/tomorrowlaw/bn/tokyo294_200229.html

 

日時:2020年4月4日(土)

   18:30~20:30

   (同年2月29日(土)よりコロナ対策のため日程を変更しました)

 

場所:伊藤塾・東京校(渋谷)

https://www.itojuku.co.jp/itojuku/school/tokyo/index.html

 

講演タイトル:「公法系弁護士」の面白さ~近時の補助金不交付問題等を題材として~

 

 

・・・ということで、最後は宣伝になってしまいました。

 

4月頃にはコロナも収束しているといいのですが、「未知の」部分がまだ多い新型ウィルスですから何とも言えず予測は困難ですが、ご予約は不要ですので、また日程が近くなったときにでもご検討いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

 

 

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現状を憲法の文言に書くだけだから心配はいらない、という説明が今ふうに言えば端的に「フェイク」な言説であることは明らかでしょう。[11]

 

 

 

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[1] 樋口陽一『リベラル・デモクラシーの現在―「ネオリベラル」と「イリベラル」のはざまで』(岩波書店、2019年)40頁。

[2] 蟻川恒正「政府の言論の法理」駒村圭吾鈴木秀美編『表現の自由 Ⅰ―状況へ』(尚学社、2011年)417頁(437~438頁)。

[3] 蟻川・前掲注(2)439頁参照。

[4] 芦部信喜高橋和之補訂)『憲法 第七版』(岩波書店、2019年)191頁。

[5] なお、政府広報としての政府のツイートが放送事業者の放送内容等に影響を及ぶことは、「検閲」(憲法21条2項前段)の最高裁最大判昭和59年12月12日民集38巻12号1308頁)の定義には当たらないと考えられる。

[6] 中原茂樹『基本行政法[第3版]』(日本評論社、2018年)47頁。

[7] 中原・前掲注(6)47頁。

[8] 宇賀克也「判批」(東京高判平成15年5月21日解説)廣瀬久和=河上正二編『消費者法判例百選』(有斐閣,2010年)174~175頁(175頁)。

[9] 田中二郎『新版 行政法 上巻 全訂第2版』(弘文堂、昭和49年)211頁、塩野宏行政法Ⅱ[第六版] 行政救済法』(有斐閣、2019年)385頁、芦部・前掲注(4)247頁参照。なお、特別の犠牲といえるかどうかの基準については、田中二郎・同214頁以下を参照されたい。

[10] 宇賀・前掲注(8)174頁。

[11] 樋口・前掲注(1)164頁。