平 裕介(弁護士・公法研究者)のブログ

主に司法試験と予備試験の論文式試験(憲法・行政法)に関する感想を書いています。

【司法試験】よくあるご質問 & 回答①

「人生はいつもQ&Aだ

 永遠に続いてく禅問答」*1


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本日は、司法試験受験生から定期的に頂戴するような、よくあるご質問&回答(FAQ)を7つほど紹介する。


最近のTwitterのまとめ的なものではあるが、受験生の皆様方において、少しでもご参考になれば幸いである。



Q1 法科大学院では「受験対策」してはダメなのですか?

A1 法科大学院は実務家法曹を養成するところです。実務家になるには司法試験に合格する必要があるので、「受験対策」をしてはいけないということはありません。




Q2 試験対策としてキーワードなどを記憶していますが、記憶の定着が悪いです。対策はないでしょうか?

A2 古典的ですが、単語カードを使ってみると効果的かもしれません。



Q3 憲法の論文対策として、時事問題について考えておくことが重要と聞きました。本当ですか?他の科目ではどうなんですか?

A3 合格するのに必須ではないと思いますが、日常のニュースと関連する判例判例百選や重要判例解説に載るようなもの)が何なのか検討するとベターだと思います。行政法でも、一応、似たようなことがいえると考えられます。
 例えば、最近の時事問題として、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(その芸術祭における企画展「表現の不自由展・その後」)への文化庁補助金不交付を挙げることができます。この問題については、ネット記事や関連するツイートなどを参考にしてみていただけますと幸いです。





Q4 論文式試験では、判例は神様で、学説はゴミ扱いだ、と聞いたのですが、本当ですか?

A4 関連する判例への言及は必要になりますが、学説も特に最近の司法試験(論文)では重要だと思います。ですから、ゴミと称するのは不適当でしょう。あと、判例は「神様」というか「カミ」です。「判例はカミ,学説はゴミ」と仰った安念先生も、「神」とまでは言って(書いて)いません。



Q5 学説が「ゴミ」でないとすると、具体的に、答案で学説をどう使うのでしょうか?

A5 令和元年司法試験論文憲法では、現実の悪意の法理を使った答案を書いてみましたので、ブログを参考にしてみてください。

 



Q6 原告適格の書き方がイマイチ分かりません。模試や大学/ロースクールの定期試験などでも点数が伸びません。どうしたら…。

A6 原告の主張する不利益(利益)の特定の点が意外と重要です。ブログ(↓の過去のブログ)で紹介させていただいた小早川先生の3要件の流れで書くというのが1つの手だと思います。判例は必ずしもこの流れで書いていませんが、この流れで書く方が安定的に得点要素が拾えると考えられます。

yusuketaira.hatenablog.com

yusuketaira.hatenablog.com



Q7 要件裁量の認否ですが、どの年度(過去問)も、処分要件の文言が抽象的で、全部裁量を肯定してよいようにも思えてしまいます。模試でも迷うのですが、認否の決め手みたいなものはないのでしょうか?

A7 司法試験と「3要素説」との関係について、ブログにまとめておきましたので、参考になれば幸いです。



以上、本日は、司法試験受験のFAQを7つ紹介した。

タイトルを、【司法試験】よくあるご質問 & 回答①としたので、後日、「【司法試験】よくあるご質問 & 回答②」を掲載することとしたい。


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「腑甲斐無い自分に 銃口を突きつけろ

 当たり障り無い 道を選ぶくらいなら

 全部放り出して コンプレックスさえもいわばモチベーション」*2

*1:Mr.Children「I’ll be」同『DISCOVERY』(1999年)

*2:Mr.Children・前掲注 1