平 裕介(弁護士・公法研究者)のブログ

主に司法試験と予備試験の論文式試験(憲法・行政法)に関する感想を書いています。

行訴法上の「処分」性拡大の波及効果について

 「結末ばかりに気を取られ この瞬間を楽しめない」[1]

 

世はGW真っ只中であるが,司法試験受験生にとっては中々苦しい時期だろう。

とはいえ,あと約2週間となった。ラストスパートをかけるには絶好のタイミングである。

  

 

さて,ブログを解説して1年が過ぎた。特にそれを自分で勝手に記念するわけではないが,講学上の行政指導として制定されたものとされる行政作用(例えば医療法30条の7に基づく病院開設中止勧告)に行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条2項の「処分」性を認めることに関する「処分性拡大の波及効果[2]について,受験生からご質問をいただくことが少なくないので,本日のブログで取り扱うこととしたい。

 

この「処分性拡大の波及効果」にはいくつかの論点があるが,このうち,一般的にも,また司法試験との関係でも,主要な論点と考えられる「違法性の承継」(平成28年司法試験論文行政法)と,行政手続法(以下「行手法」という。)上の「不利益処分」(あるいは「行政指導」)の関係規定の適否(平成20年新司法試験論文行政法)の2つについて[3]若干の検討を加えることとする。周期的に,後者の論点は平成30年の司法試験や予備試験の論文行政法に出ても何らおかしくないし,後者の論点も平成30年予備試験論文行政法に出る蓋然性が相当程度あるといえるだろう。

 

以下,前提論点である行政指導と行訴法3条2項の「処分」性の関係,特に病院開設中止勧告事件[4]が上記病院開設中止「勧告」に処分性を認めた趣旨の理解の仕方に触れた上で(下記),処分性拡大の波及的効果の主な2つの問題である違法性の承継(下記)及び行手法上の「不利益処分」(あるいは「行政指導」)の関係規定の適否(下記)について若干の検討を加えることとする。

 

1  行訴法3条2項の「処分」に当たるか

(1)基本的方針

(2)論述の具体例

(3)行政指導として法定された行政作用に行訴法上の処分性を認める趣旨

2  違法性の承継の肯否

(1)基本的方針

(2)論述の具体例

3  行政手続法上の不利益処分or行政指導の関係規定の適否

(1)基本的方針

(2)論証例(論証パターン)

4 結びにかえて

 

 

        行訴法3条2項の「処分」に当たるか

      (1)基本的方針

上記病院開設中止「勧告」など任意性を前提とする講学上の行政指導として制定された(個別法がその旨予定して法定した)行政作用であっても,病院開設中止勧告事件の理由付けが妥当する場合には,行訴法3条2項の「処分」に当たるものと解される。多くの受験生がこのような立場を採るだろう。

 

      (2)論述の具体例

行政指導に関するものではないが,以前,ブログで,都市計画法32条1項の公共施設管理者の「同意」の処分性を肯定する論述を試みたので参考にしていただけると幸いである。  

 

yusuketaira.hatenablog.com

  

      (3)行政指導として法定された行政作用に行訴法上の処分性を認める趣旨

病院開設中止勧告事件の勧告のような行政指導については,最高裁判所が行政指導として制定された行政作用(典型的な行政処分とはいえない,行政処分のうちの「中核」部分ではない「フリンジ(周辺)部分」にある行政作用[5])に行訴法上の処分性を認めた趣旨の理解の仕方が現状一様ではない。

この論点すなわち処分性拡大の波及効果の諸論点の前提論点と位置付けられるものについては,司法試験(新司法試験)でも論じる必要があるとされている。

 

すなわち,平成20年新司法試験論文行政の出題趣旨は,介護保険103条1項の「勧告」の手続の違法性(手続(法)的違法事由)に関し,①「勧告の手続法的違法が問題となろう。その前提として,勧告にはどのような行政手続が要請されるのかが論じられなければならない。」(下線は引用者)とした上で,②「例えば,勧告を不利益処分ととらえる場合には,行政手続法の不利益処分手続が適用される。この場合には具体的にどのような手続規制が要求されるのかを明らかにした上で,本件事案でそうした手続が踏まれていたのかを検討することとなろう。これに対し,勧告を行政指導と解する場合には,知事の行う行政指導については,行政手続法は適用除外となり,B県行政手続条例の定める行政指導手続が要求される。この点を指摘した上で,本件で手続に関する適法が認められるのかを同条例に即して検討することが求められる。」としている。

 

上記出題趣旨もいうように「前提」論点であるから,あまり論じている時間やスペースがないが,多少なりとも言及できていると点数が違ってくるだろうから,受験生としても短く論じられるよう意識・準備しておいてほしいところである[6]

 

さて,この前提論点につき,学説は大別すると次の2説に分かれているといえよう。

すなわち,この趣旨は,専ら早期に実効性ある救済の機会を付与する点にあるとする見解(〔A説〕[7]と,この趣旨につき,単に取消訴訟による権利保護・行政統制の便宜だけではなく,法効果を持たないものとして立法されたはずの行政作用につき,「元々の法令の欠陥や、法執行を担当する行政機関が事実上作り出した新たな法環境」にかんがみ,「現在ではもはや、行政処分へと位置付けを変えるべきであるという決断を、司法があえて行うもの」と考える見解(〔B説〕)である[8]。そして,やや下記の議論の先取りとなるが,〔B説〕は,上記の処分性を認めた趣旨につき,(基本的には)通常の行政処分と同様に,出訴期間のほか,行手法や行政不服審査法の対象にすることも合意するものと理解する立場となるものと解される[9]

 

 これら2説の存在を前提に,以下,違法性の承継の論点と,行政手続法で適用される規定についての論点をそれぞれ検討する。

 

        違法性の承継の肯否

      (1)基本的方針

前述した〔A説〕によると,行訴法上の処分性を認めた趣旨専ら早期に実効性ある救済の機会を付与する点にあり,違法性の承継を遮断する趣旨までは含まないものと解されることから,取消訴訟の排他的管轄(行訴法上の出訴期間の規定)が適用されないものとする立場がありうる[10]。この立場によると,<甲説>違法性の承継の肯否は問題とならず,その論述は不要(先行行為の違法性の主張を認める)ということになると思われる。

しかし,この<甲説>によると,処分という行政制度の根幹に関わる仕組みの基本的前提を覆すことになりかねないという問題があり[11],また,行訴法上の処分性を認める以上,取消訴訟の排他的管轄に伴う「遮断効」は否定できないとの見解もある[12]ため,<乙説>違法性の承継の肯否を問題とすべきとの立場も考えられる。

そこで,<甲説>の立場に言及した上で,「仮に違法性の承継の肯否が問題となるとしても」などとして,<乙説>の立場に立ち,違法性の承継の肯否の問題を答案で論じる(いわば“二段構えの主張”)のも良いかもしれない[13]。そして,その際には,違法性の承継を正面から肯定した初めての最高裁判例[14]である安全認定判決(新宿区「たぬきの森」事件(本案判決)[15]の判断枠組みないし一定の範囲で違法性の承継を肯定した同判決の理由付けに照らした論述(下記(2)及びそこに引用したブログ参照)をすべきものと考えられる。

 

      (2)論述の具体例

行政指導に関するものではないが,以前,上記と同様に(上記の以前のブログで),「同意」の処分性を肯定した場合の違法性の承継の肯否に関する論述を試みたことがあるが,本ブログでも,あらためて<乙説>に立つ場合の論述例(ないし論証パターン)の枠組み(規範定立部分だけではなく,問題提起からあてはめまでのフレーム)[16]を示しておくこととする。「仮に違法性の承継の肯否が問題となるとしても」などとして(上記“二段構えの主張”),同問題を答案で論じる場合に参考にしていただきたい。

 

○論述例(違法性の承継を肯定する場合)

「○○[17]」(○○法○○条○項)の処分性が肯定される場合,違法性の承継の肯否すなわち先行処分(先行行為)としての○○に係る違法を後行処分である△△〔:典型的な行政処分である後行行為〕の取消訴訟の中で取消事由として主張しうるのかが問題となる。

 この点については,取消訴訟の排他的管轄と出訴期間制限(14条)の趣旨からすれば[18]違法性の承継は原則として否定されるが,実体法的観点及び②手続法的観点両面からみて例外的に肯定されうると解すべきである[19] [20]

 これを本問についてみると,○○は・・・の前提として要求される行為であり,それ自体独立した意味をもつ行為ではなく○○△△とが結合して・・・・・・という一つの目的・効果の実現を目指しているものといえる。また,○○については事前の公聴会が法定されている(○○法○○条○項)ものの,○○法には文書による個々の通知が法定されているわけではなく,加えて,本件のように○○(先行行為)が処分であるか否かが不明確な場合には,先行処分を争うための手続的保障が十分とはいえず,△△(後行処分)を受けるまでは争訟を提起しないことがあるとしても,その判断はあながち不合理ともいえない[21]

 よって,本件で違法性の承継は肯定されると考える。

 

 

        行政手続法上の不利益処分or行政指導の関係規定の適否

      (1)基本的方針

行訴法上の処分性を肯定する場合,その行政作用について,[あ]行手法上の処分の関係規定(「勧告」の場合,不利益処分の規定[22](…理由付記,弁明手続の規定))を適用すべきか,それとも[い]行政指導の関係規定を適用すべきかが問題となる。

この点につき,〔A説〕に立ち,違法性の承継のところ(前記)で,<甲説>に立つ場合には,違法性の承継の論点と行手法の論点が同時に問題になる事案では特に(論点相互間の関係,答案の読み手への印象等を考慮すると),[い]の行政指導の規定を適用すべきとの帰結となろう。

他方で,〔B説〕に立つ(違法性の承継のところで,<乙説>の立場に立つ)場合には,行訴法と行手法(・行審法)とを統一的に解釈し,いわばパッケージ[23]として適用すべきであるという見解を採ることになるから,[あ]の不利益処分の規定を適用すべきとして良いだろう。

この論点も,前記の問題と同じく,基本的には,前提論点で〔A説〕〔B説〕のいずれの立場を採るかにより結論が異なってくるものといえ,また,前記2(1)のような“二段構えの主張”を答案で展開するのも悪くはないだろう。

 

      (2)論証例(論証パターン)

論述例ないし論証パターンとしては,次のようなものが考えられるので,適宜参考にしていただきたい。

 

○論証パターン・[い]の立場の場合

行訴法3条2項の「処分」に当たると解される行政作用については,病院開設中止勧告事件が行政指導の処分性(同項)を認めた趣旨専ら早期に実効性ある救済の機会を付与する点にあると解されることから,行手法上はなお「行政指導」(同法2条6号)に当たると考えるべきである。よって,行政指導に関する行政手続法の関係規定(32条以下[24])が適用される。

 

○論証パターン・[あ]の立場の場合

行訴法3条2項の「処分」に当たると解される行政作用については,病院開設中止勧告事件が行政指導の処分性(同項)を認めた趣旨早期に実効性ある救済の機会を付与する点にあるのみならず,行訴法と行手法(・行審法)とを統一的に解釈[25],いわばパッケージとして適用すべきとする点にもあると解されることから[26],行手法上も「不利益処分」(同法2条4号柱書)に当たるものと解される。よって,不利益処分についての行政手続法の関係規定が適用される。

 

       結びにかえて

以上のとおり述べてきたわけであるが,最高裁判例・学説の議論をそのまま司法試験の答案に反映させることには,実は,多少問題があるのではないかと思われる。というのも,〔A説〕〔B説〕も(特に〔B説〕は),あくまで最高裁判例の判示を前提とするのに対し,多くの司法試験の答案では,一審段階における主張・反論や第三者的立場での(≒裁判所の)判断につき解答することが求められているものと考えられることから,最高裁判例処分性を認めた場合の論拠がそのまま妥当するわけではないと思われ,問題は単純ではないように思われる(このことは上記及びどちらの論点についても妥当することだろう)。

とはいえ,このような観点は,行政法の基本書・演習書で(おそらく)特に問題視されてはいないようであるから[27],少なくとも司法試験受験生が答案を書く際に気にすることではないだろう。

 

いずれにせよ,受験生は,このようなやや難しい(と思われる)論点について,前提論点に深入りしすぎることなどにより時間不足に陥るリスクに注意すべきである。

受験生が「早押しクイズ」(下記ブログ参照)としての,あるいは,「事務処理超優先型」・「暗記ゲーム型」(多くの受験生にとって主な暗記の対象は「『予備校教育の代名詞』とも言われる『悪名高き』論証パターン[28]あるいはそれに類似するものということになるだろう[29]。)の司法試験論文行政法の問題に挑むためには,そして,本試験でベストを尽くすためには,過去問で出ているような重要論点等につき事前にどの見解・立場に立つかをしっかり決めておくことが重要となってくるわけであるところ[30],本ブログの各拙稿がその一助となれば幸いである。

  

yusuketaira.hatenablog.com

 

 

私は,全受験生がベストを尽くせることを願ってやまない。最後の一秒まで駆け抜けてほしい。

 

「夢じゃないあれもこれも その手でドアを開けましょう」[31]

 

 

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[1] B’zultra soul」(稲葉浩志作詞,松本孝弘作曲,2001年)。

[2] 中原茂樹『基本行政法[第3版]』(日本評論社,2018年)(以下「中原・基本行政法」という。)316頁。

[3] このほかに,行訴法上の「処分」と行政不服審査法上の「処分」とを同様に考えることになるのかという論点や,行政庁の教示義務(行政事件訴訟法)が生じるかという論点がある。阿部泰隆『行政法解釈学Ⅱ』(有斐閣,2009年)(以下,「阿部・解釈学Ⅱ」という。)115頁,山本隆司判例から探究する行政法』(有斐閣,2012年)(以下「山本・探究」という。)382~384頁,神橋一彦『行政救済法(第2版)』(信山社,2016年)(以下,「神橋・救済法」という。)83~84頁参照。

[4] 最二小判平成17年7月15日民集59巻6号1661頁,宇賀克也=交告尚史=山本隆司編『行政判例百選Ⅱ〔第7版〕』(有斐閣,2017年)332~333頁・160事件〔角松生史〕。

[5] 塩野宏行政法Ⅱ[第5版補訂版]行政救済法』(有斐閣,2013年)120頁参照。

[6] なお,平成20年新司法試験論文行政法を解説した石井昇「公法系科目〔第2問〕の解説」別冊法学セミナー198号(2008年)38,44頁や,橋本博之『行政法解釈の基礎―「仕組み」から解く』(日本評論社,2013年)(以下「橋本・解釈の基礎」という。)79頁は,この「前提」論点には(殆ど)触れていないものと思われる。

[7] 最高裁が「勧告」に行訴法上の処分性を認めた趣旨はあくまで取消訴訟による実効的な権利救済の必要性・便宜にあり,「勧告」の実体法上の法的性質は依然として行政指導であるとする考え方である(阿部・解釈学Ⅱ115頁参照)。なお,塩野・行政法Ⅱ120頁,大久保規子「処分性をめぐる最高裁判例の展開」ジュリスト1310号(2006年) 18頁(24頁),小早川光郎=青栁馨編著『論点体系 判例行政法 2』(第一法規,平成29年)(以下「論点体系」という。)309頁〔青栁馨〕,中原・基本行政法317頁,神橋・救済法84頁,大島義則『行政法ガール』(法律文化社,2014年)(以下「大島・行政法ガール」という。)114頁等も参照。

[8] 中川丈久「処分性を巡る最高裁判例の最近の展開について」藤山雅行=村田斉志編『新・裁判実務体系 第25巻 行政争訟〔改訂版〕』(青林書院,2012年)139頁以下(141頁)参照。

[9] 中川・前掲「処分性を巡る最高裁判例の最近の展開について」143頁参照。ただし,山本・探究383頁は,病院開設中止勧告事件(最高裁判決)が「行手法・行審法・行訴法を体系的に解釈して『処分』を統一的に理解することを,あえて放棄する決断をしたとは,判決文から読み取りにくいし最高裁が処分とした行為に行手法や行審法が適用されないと,学説があえて理解する理由もないように思われる」としつつも,「出訴期間制限」については,「裁判を受ける権利を実際上大きく制限するものであり,手続保障のために処分性を承認することと当然には連動」しないものと解している(同書384頁)。

[10] 高橋滋『行政法』(弘文堂,2016年)329頁参照。塩野・行政法Ⅱ119~120頁もこの立場に立つか,この立場と親和的と思われる。

[11] 中原・基本行政法317頁参照。

[12] 最三小判平成17年10月25日集民218号91頁の藤田宙靖裁判官補足意見,中川・前掲「処分性を巡る最高裁判例の最近の展開について」143頁参照。神橋・救済法84頁も「ある行為に処分性を認めることによって、公定力や不可争力などの一種の遮断的効果が生じることが考えられる」とする。

[13] ただし,論述の分量が増えるため,時間不足のリスクが増大することは否めないので,注意が必要である。

[14] 倉地康弘「判解」ジュリスト1415号82頁参照。

[15] 最一小判平成21年12月17日民集63巻10号2631頁・宇賀克也=交告尚史=山本隆司編『行政判例百選Ⅰ〔第7版〕』(有斐閣,2017年)170~171頁・84事件〔川合敏樹〕。

[16] 「勧告」等(行政指導として法定された行政作用)につき,<甲説>に立ち,“二段構えの主張”もしないという答案を書く場合には,この(2(2)記載の)論証例を書くことはない。この点については十分に注意されたい。

[17] 「○○」には,例えば「勧告」などの文言が入る。

[18] 違法性の承継の根拠論に関し,板垣勝彦「建築確認の取消訴訟において建築安全に基づく安全認定の違法を主張することの可否」『住宅市場と行政法耐震偽装、まちづくり、住宅セーフティネットと法―』(第一法規,平成29年)269頁以下参照。違法性の承継が公定力(取消訴訟の排他的管轄)の例外なのか,不可争力(出訴期間制限)の例外なのか,という論争がある(同頁)ところ,後掲の(1つ下の)注(平成28年司法試験論文行政法の出題趣旨3頁の)のとおり,平成28年の考査委員は,公定力説と不可争力説を併記してよいものとしているように思われる。

[19] 違法性の承継の論証パターンのショートバージョンである。なお,この部分の論証パターンとそのあてはめの部分については,平成28年司法試験論文行政法の出題趣旨3頁の次の記載を参考にした。「〔設問3〕は,いわゆる違法性の承継の問題であるが,取消訴訟の排他的管轄と出訴期間制限の趣旨を重視すれば,違法性の承継は否定されることになるという原則論を踏まえた上で,まず,違法性の承継についての判断枠組みを提示することが求められる。その上で,最高裁判所平成21年12月17日第一小法廷判決(民集63巻10号2631頁)の判断枠組みによる場合には,違法性の承継が認められるための考慮要素として,実体法的観点(先行処分と後行処分とが結合して一つの目的・効果の実現を目指しているか),手続法的観点(先行処分を争うための手続的保障が十分か)という観点から,本件の具体的事情に即して違法性の承継を肯定することができるかを論じる必要がある。」(下線は引用者)

[20] 平成28年司法試験論文行政法の採点実感等5頁等も参考にした。

[21] 後行行為の段階までは「争訟の提起という手段は執らないという判断をすることがあながち不合理であるともいえない」という前掲・最一小判平成21年12月17日のキーフレーズと殆ど同様のフレーズ(の一部)を②の要素のあてはめの部分に盛り込んでいる。ただし,これを②のあてはめとして良いかについては議論があるところと考えられる(論点体系296~297頁〔青栁馨〕は,このキーフレーズの部分を「手続保障」の要素とは別の第3の要素としている(「③」というナンバリングをしているため)ものと思われる)。

[22] 橋本・解釈の基礎79頁,神橋・救済法84頁。

[23] 中原・基本行政法317頁参照。

[24] ちなみに,地方公共団体の機関がする行政指導については,行手法3条3項の適用除外規定に注意する必要がある(大島・行政法ガール119頁注8参照)。

[25] 「処分」という同じ概念(文言)については同じく解すべきというのが主たる論拠だろう(阿部・解釈学Ⅱ115頁参照)。

[26] 中原・基本行政法317頁,山本・探究383頁参照。

[27] 神橋・救済法73~75頁,橋本・解釈の基礎79頁参照。

[28] 呉明植(伊藤塾首席講師)『憲法伊藤塾呉明植基礎本シリーズ6】』(弘文堂,2018年)Ⅴ頁。なお,賢明な受験生は「悪名高き」と評価・批判する者の利害関係も考えてみると良いだろう。

[29] 「論証パターン」(「論パ」と略されることもある。)が掲載されている教材は(最近では特に)多く,例えば,伊藤真伊藤塾塾長)『伊藤真試験対策講座』シリーズ(弘文堂),呉・前掲『伊藤塾呉明植基礎本シリーズ』を挙げることができる。また,これらの教材とはややコンセプトが異なるように思われるが複数の受験生(といってもそれほど数は多くないが)から最近聞いた話によると,相当数の受験生が重要条文についての趣旨・要件等や重要論点についての規範と理由(要するに特に理解・記憶すべき情報)をまとめたサブノートのような教材である『趣旨・規範ハンドブック』シリーズを使っているようである(辰已法律研究所の司法試験のいわゆる直模試験で,会場にいる多くの受験生が休憩時間に『趣旨・規範ハンドブック』を見ていたとの情報を最近複数名の受験生から聞くことができた)。

なお,旧司法試験及び新司法試験考査委員であった(委員の期間は1998~2004年,2005~2007年)井田良教授も「論証パターン」の「有用性」と「危険性」を認識している(井田良=細田啓介=関根澄子=宗像雄=北村由妃=星長夕貴「〔座談会〕論理的に伝える」法学教室448号(2018年)8頁以下(23頁)〔井田〕)ところ,同文献を読む限り井田教授も,その「有用性」をすべて否定しているわけではないものと推察されることからすれば,司法試験考査委員経験のある研究者の先生であっても,論証パターンの「有用性」につき一定程度認めているものと言ってよいものと思われる。ちなみに,論証パターンの「利点」と「危険」に関し,特に同文献23~24頁〔宗像〕を読むと良いだろう。

[30] もちろん,設問や弁護士の会話文等の内容次第では別の見解・立場に立つ必要があることもあるが,そのようなことをすべき回数はそれほど多くないだろう。

[31] B’z・前掲注(1)。

 

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*このブログでの(他のブログについても同じ)表現は,私個人の意見,感想等を述べるものであり,私の所属団体,関連団体のそれとは一切関係のないものです。そのため,例えば,私のブログにおける「受験生」も,このブログの不特定少数又は不特定多数の読者に司法試験や予備試験の受験生がいる場合のその受験生を意味し,特定の大学等の学生・司法試験受験生をいうものではありません。